お嬢様、今夜も溺愛いたします。
「なんでしょう?」
「今から私は執事としての黒木ではなく、クズ男の1人です。敬語も一度外しますので、失礼致します」
「わ、分かりました」
てことは、さっきみたいに呼び方も変えるってこと?
すごい本格的……
さすがにここまでしなくても……なんて思うけど、全部私のためを思ってのことだよね……
むしろ、私は感謝しないといけない。
「では、失礼して……」
「村上さん」
「な、なんでしょうか?」
「俺と、付き合ってくれない?」
なんか、常に敬語の黒木さんから敬語を取ると、本当に違う人と話してるみたい。
この流れは、告白されてってことだよね?
だったら……
「ご、ごめんなさい……」
「なんで?好きな人とかいんの?」
「そ、そうなんです。
好きな人がいるから、ごめんなさい。無理です」
目を見てハッキリそう言えば、目を逸らし、ふーんと頷く黒木さん……いや、クズ男。
「けど、彼氏はいないんでしょ?
だったらさ、俺と試しに付き合ってよ」
「えっ……」
「もしかしたら、俺のこと好きになるかもしれないし」
ええええーーーっ!?
黒木さん、じゃなくてクズ男、めっちゃ押してくるんだけどっ!?
なるほど。これが、押して押して押しまくるタイプ、つまりはクズってことか……