お嬢様、今夜も溺愛いたします。

「あ、あの、どうでした……?」


おそるおそる俯く黒木さんを見れば、なんだか肩がプルプル震えている。


ま、まさかこれって……


「ちょっと黒木さん!?」


「ふっ……あははっ!!」


ええええーーー!!


黒木さんが、あの無表情でクールで飄々として淡々としているあの黒木さんが、声を上げて笑ってる!?


「も、申し訳ございません、お嬢様。まさか、そう言ってくるとは思わず、ついっ……!」


そしてまた声に出して笑ってる。


ドキッ────


心から笑ってると言える表情。

涙目でいつものクールな佇まいが剥がれて、普通のどこにでもいる男の人のように笑ってる。


ふ、不意打ちすぎる!!

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