お嬢様、今夜も溺愛いたします。
「お嬢様。先程も述べました通り、男というものはそういうものです」
「き、聞こえて……っ」
ジリジリと距離を縮めてくる黒木さん。
「あ、あの……どうしてこっちに寄ってくるんですか?」
冷や汗ダラダラ。
心臓はバックンバックン。
もう、頭が警鐘してる。
早くこの場から逃げないと、まずいって。
「お嬢様が、お逃げになるからに決まっているでしょう」
ひいぃぃぃーーーっ!!
この笑みだけは見たくなかった!!
普通に微笑むとかじゃなくて、最上級の微笑み。
これは完全にスイッチが入っている証拠。
いつだったか、前もこうやって笑った後の黒木さんは、人が変わったように私に近づいた。
みるみるうちに、唇が引き攣るのが自分でも分かる。
「さあ、お嬢様。お勉強を致しましょう」
「だから、そのお勉強ってなんなんですか!」