お嬢様、今夜も溺愛いたします。

「おや、お嬢様?
私が今から何をするかなど、察しのいいお嬢様はもうお気づきのはずでは?」


ニヤリと口角を上げた瞬間。


「っ……」


トンっと私の背中は何もない、花柄の壁に当たる。


「わ、分かりません……っ、というか離れて……」


「離れませんよ。お嬢様がその気にさせたのですから。責任、取って下さいね?」


「い、意味が分かりません……っ!」


トンっと私の顔の横に片手をつき、ググッと距離を縮めてくる。


「壁ドン、初めてしました。どうですか、ドキドキされますか」


この人の口から、壁ドンなんてワードが出てくるなんて、ちょっとばかり面白い……


「ドキドキ、というか別の意味でドキドキです!ほら、もういいでしょう!!」


もちろん、胸きゅん!!

じゃなくて、恐ろしいって意味の方です。


「ダメです。お嬢様に男というものをもっと詳しくお教えしなければ。私黒木、心配でなりません」


コテンと首を傾けても無駄だからーーっ!!


教えてくれるのはありがたいけど、もうちょっとやり方を考えてよ!!
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