夕焼け空に恋をした
Old Happiness


すごく、すごく幸せな夢をみた。



───……───



スパ──ンッと気持ちよく響き渡るシャトルの音。きゅっきゅっと鳴るシューズ。点を決めた選手の雄叫び。


……ああ。バドミントンだ。しかもここは、中学校の体育館だ。

そうか。これは夢だ。


ひときわ目立つ、長身の男子部員。その筋肉質の身体をしならせて、力強いスマッシュを放つ。目にもとまらない速さで床に突き刺さるシャトル。


……涙がこぼれそうになった。


「……先輩。」

だいすきでだいすきで、
いったい何度会いたいと願ったかわからないその人が、今、目の前にいる。


彼がふりむいた。そして、目が合うと、くしゃっと笑った。──あの懐かしい笑顔で。

そして嬉しそうにラケットを掲げてみせるんだ。
『見てた?勝ったよ!』と言いたげな満面の笑みで。


胸がぎゅうっとしめつけられる。鼓動が全身にうるさいほど響く。顔に熱がかあっと集まる。

全身の細胞が、喜びにふるえ、嬉しいとさけんでる。


「……先輩、」


先輩の胸にとびこもうとした次の瞬間、わたしはベッドの上で、涙のあとを頬に残しながら、腕をのばしていた。




───……───



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