夕焼け空に恋をした


わたしはがばっと布団をはねのけて起き上がった。
汗でぐっしょりぬれたスウェット、頬に残っている涙のあと。
……いったいどれだけの時間、わたしはあのころの夢にひたっていたんだろう。


「……夢……、」


力なくつぶやいてから、長いため息をついた。

頭の芯ににぶい痛みが残っている。その痛みが、無理やりにわたしを現実に引き戻そうとしているようだ。


──わかってる。何もかもが夢で、すべてがもう過去のことだっていうことは、頭では嫌というほどわかってる。

それなのに、こうして夢からはじき出されるたびに、まるでこの現実の方が夢なんじゃないかと錯覚してしまうんだ。

まるで脳が、わたしをかばっているかのように。




だけど、わたしが生きているのはこの現実なんだ。それだけは、何があっても、だれにも変えられない事実だ。





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