強引な副社長との政略結婚は甘すぎます
「お姫ちゃんさ、もっとうまく断らなきゃ」
聞いてたのか……。
心の中でそう思ったのに、表情からそれが漏れていたのだろう。

「聞こえたよ。あんな大きな声で合コンって話してたら」
「そうですか……。でも断ろうと思ってました」
なぜか言い訳のような言葉が口を付いて出た。

「そう?見てる限りうまく断れそうだったけど?先輩とかの押しに弱そうだし」
「そんなことありません!」

「そうかなぁ?」
不信そうな表情を浮かべた、晃さんに私は小さくため息をついた。


大人しく晃さんの後ろからエレベーターへと乗り込んで、私は違和感を覚えて階数表示の数字を見た。
下がるはずのエレベータはやはり上昇していて、慌てて私は声を変えた。

「晃さん?どこ行くんですか?」
< 106 / 218 >

この作品をシェア

pagetop