強引な副社長との政略結婚は甘すぎます
「入るぞ」
その言葉に意味があるのかわからないぐらい、言葉と同時に扉を開けた晃さんを、私はびっくりして見た。

「お姫ちゃん、早く。どうぞ」
その声に、副社長室と書かれたその部屋に私は慌てて足を踏み入れた。

「サンキュ。晃」
そう言いながら、パソコンから顔を上げた翔太郎さんは、家とは違うピリピリとした雰囲気に包まれていて、私はその場に立ち尽くした。

「どうした?優里香」

不意に私に掛けられた言葉に、慌てて首を振ると、「なんでもないです」とだけ言葉を発した。

「それならいいけど」
少しだけ表情を緩めた後、すぐに仕事モードになった翔太郎さんに、私は目を奪われたまま、私は少しずつ部屋の中へと足を踏み入れた。


「おい、翔太郎、お姫ちゃん来たんだから少しはさ」
晃さんのその言葉に、翔太郎さんは大きく息を吐いてこちらを見た。
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