強引な副社長との政略結婚は甘すぎます
ウソでしょ……。だれか冗談だと言って……。

ゆっくりと停車した車から降りた私は、そびえたつホテルを見上げた。
都内でも一二を争う有名ホテル。こんな場所でお誕生日パーティーって?

「優里香」
先に降りていた翔太郎さんに呼ばれて、私は我に返った。
「はい」
なんとか返事をして、翔太郎さんの一歩後ろへつくと、チラリと翔太郎さんの横顔を見た。

「ここ」
すぐ横を目で合図され、手を翔太郎さんの腕に誘導される。

こんなエスコートなんて初めてで、ドキドキと緊張感が高まる。
そんな私に翔太郎さんは、小さく笑うと私を見つめた。

「何があっても笑ってるだけで優里香はいいから。俺がちゃんと守るから」

守る……?
その言葉に少し引っ掛かりを覚えて、私は翔太郎さんを見上げた。
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