強引な副社長との政略結婚は甘すぎます

「翔太郎!おばさんは止めてって言ってるでしょ。まったく」
その言葉に、幸子おばさんと呼ばれた人は、顔を不機嫌そうにゆがめた。

「こちら、父の妹の幸子さんだ」
すでにいつも通り、社長の時の様な冷静な翔太郎さんの声に、私は慌てて頭を下げた。

幸子さんの値踏みをするような、視線に私はバクバクと胸の音が耳に響く。

「この子がね……」
意味深な言葉は、きっと私と翔太郎さんの事情を知っている人なのだろう。

少し俯いた私に、幸子さんは言葉を発した。

「私はなんでもいいわよ。被害さえ私になければね」
「幸子!」
その言葉に、慌てたように河野社長が口を挟むと、私たちを見た。

「悪かったね。妻が。悪気はないんだ」
十分悪気はありそうな態度だったが、ここはグッと我慢すると小さく会釈をして曖昧な笑顔を作った。

「翔太郎、あそこ」
後ろにいた晃さんの声に、私達もその方向を見た。

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