強引な副社長との政略結婚は甘すぎます
「調子にのるなよ」

低く自分の息子に言うべき言葉なのかと、私は耳を疑ってお父様を見た。
そんな私の視線など気づくこともなく、お父様は「行くぞ、麻衣子」と短く言うと、私たちに背を向けた。
その時初めて、お父様の後ろに和服の綺麗な女性がいたことに、気づき私はその人に視線を向けた。


「優里香、もういい。帰ろう」

「え?」

その言葉に、私は驚いて翔太郎さんをみた。

「晃、行くぞ」
短く言った言葉に、晃さんも「ああ」といつもの様なふざけた顔ではく、真面目な表情に私もギュッと唇を噛み締めた。

その様子を、ジッと見つめる視線に私達は気づいていなかった。




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