強引な副社長との政略結婚は甘すぎます
週が明けて、あんな去り方をしてしまった私は、憂鬱な気持ちで会社のビルを見上げた。

あー、絶対晃さんの事言われるよね……。
小さくため息をついて、覚悟を決めてビルのエントランスへと入ろうとしたところで、案の定町屋先輩に声を掛けられて、私は心の中で盛大なため息をついた。

「おはよう」

「おはようございます……」

呟くように言った私に、町屋先輩は苦笑するとポンと肩を叩いた。

「別に私はなにも言わないわよ?だって神崎さんの事なんとも思ってないし」
そのサバサバした言い方と、そのままのキレイな切れ長の瞳を私に向けるとニコリと笑った。

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