強引な副社長との政略結婚は甘すぎます
その日は周りが騒がしかった。
好奇の視線はもちろん、少し会話をする程度の人たちに限って、声をかけてきた。

人間って分かりやすい。

そんな事を思いながら、昨日から考えた台詞を繰り返す。

「すごく遠い親戚で、連絡先も知らないんです。こないだは親族の集まりがあっただけで」
ウソをつくことに、ものすごく抵抗はあるが、翔太郎さんの事など話せないのだから仕方ないと自分に言い聞かせた。

実際、私は晃さんの連絡先を本当に知らない。
常に翔太郎さんを介してしか、私は晃さんとのつながりはないので、あながち嘘でもないかもしれない。


なんとか一日を適当に返事をしつつ終えると、残業もそこそこに会社を出て、買い物をするべくスーパーへと向かった。


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