強引な副社長との政略結婚は甘すぎます
こうして私を翔太郎さんに落ちて行くように仕向けてくる、大人なこの人はずるい。


そんな思いを込めて、キッと睨みつけると、余裕の表情で翔太郎さんは私を見下ろしていた。

「隙は俺にだけ見せてればいい。優里香の本当のキレイさは俺だけが知ってる」
恥ずかしくなるような言葉攻めに、私の顔は真っ赤だろうと思う。
すでに睨みつけることも出来なくなり、私はまた食器を洗うためにシンクへと向いた。


絶対に負けないんだから。そう思い言葉だけでも文句を口にした。

「その手にはのらない……ひゃあっ!!」

その言葉の途中で、不意に背中に直に翔太郎さんの手の感触を感じ、私は驚いて言葉を上げた。

「色気のない声だすなよ」
私の声とは反対に、色気たっぷりな低い声にクラクラする。

直に回された腕に、私の心臓はこれでもかとバクバクして皿を落としそうになり、慌てて下にお皿を置いて手を洗った


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