強引な副社長との政略結婚は甘すぎます
「もう……無理です……」
その言葉に、翔太郎さんは私の耳に唇を近づけると、

「じゃあ、これからは合コン誘われたり、誰かに言い寄られてもきっぱり断れよ。わかったか?」

「わかった。わかりました!というか、行く気なかったです!翔太郎さんいるのに……」
泣きそうになりながら、翔太郎さんに訴えると、なぜか少し照れたような表情の翔太郎さんに、驚いて私は翔太郎さんを見上げた。

「なら……いい」
それだけを言って、するりと離れて行った翔太郎さんに、私はなぜか嬉しくなり翔太郎さんめがけてギュッと抱きついた。

そんな私を見て、小さくため息をつくと、

「早くご飯と私どっち?って本気で聞けよ」
その言葉に、ボンと赤くなった私に、チュッと軽く私の頬にキスを落とすと、「風呂入って来るよ」と私に笑顔を向けた。


今すぐにでも翔太郎さんOKをだしても良いと思っている自分に驚きつつ、いまだに「好き」という言葉を聞いていない不安と、夫婦生活をうまくやるためだけかな?と思う気持ちもぬぐえない私は、やはり自分に自信がないのかな。
そんな事を思いながら、後片付けを手早く済ませた。

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