強引な副社長との政略結婚は甘すぎます
「なんか、この会社では今のポストにいるけど、グループのトップには立てないって」

「そうなの?」

「まあ、この会社の副社長でも十分に、優良物件だけど、清水グループのトップはけた違い……」

そこまで行ったところで、後ろで咳払いが聞こえて先輩たちは話をやめた。
後ろに勤続何十年のお局様が、手洗い場を占領していた私たちを睨んでいた。

「すみません!」
声を合わせていうと、パタパタと行ってしまった先輩の後姿に、待ってーと言いたい気持ちをなんとか抑え込んだ。



え?その先は?

なに?その噂……。

別に翔太郎さんがトップに立ってほしいとか、そんなことは全く思ってないけど……。

なんとなくモヤモヤする気持ちのまま、私はその場を後にした。
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