強引な副社長との政略結婚は甘すぎます
「あの、どうして私の名前を?」
ようやく疑問に思った事を聞けて、私はその人をみた。

甘い微笑みが私を見おろしていて、私はなぜか視線を逸らす。

「うーんと、たまたまそう呼ばれているのを見てたから」

あっ、そうなんだ。

納得できるようなできないような理由だったか、そう言う事もあるのだろうと私は一人納得した後、ハッと気づいてその人を見上げた。

「あの、お金……」
私は握っていたお金を渡そうとすると、その人は首を振った。

「いいの。さっき言ったでしょ?お近づきのしるしだって。俺はね、今度海外事業部に入社した、瀬能凛太朗ね」


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