強引な副社長との政略結婚は甘すぎます
「降りる!降ります!」
運転手さんに私がそう言うと、瀬能さんは困ったような表情を浮かべると、内ポケットからスマホを出すと私の手に乗せた。

「え……?」

あさっりと帰ってきたそのスマホに、意外過ぎて私はポカンと瀬能さんをみた。

「ごめん」
不意に謝された謝罪に私はどうしていいかわからず、ギュっと手を握って俯いた。

「なんで私に構うんですか?」
私はずっと疑問に思っていた事を口にしていた。


「一目ぼれしたから」

「え?」

あまりにも意外な言葉に、私は反射的に瀬能さんの顔を見ていた。

「そう言ったらどうする?」
瀬能さんに表情はなく、冗談とも本気ともわからなくて、免疫のない私は訳がわからず言葉を探した。
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