強引な副社長との政略結婚は甘すぎます
私はこっそりと携帯を取り出すと、翔太郎さんに同僚と食事に行くことになったと簡単にメッセージを送ると、窓の外の景色に目を移した。
連れてこられた場所は、少し郊外の小さなレストランだった。
「なんでも美味しいから」
そう言ってメニューを見ると、昔ながらの洋食屋さんのメニューがならんでいた。
うわーおいしそう!
ついメニューをみて、今の状況を忘れて顔がほころぶ。
クックッと笑い声が目の前から聞こえて、私は慌てて顔を上げた。
「子供みたいに目が輝いてるよ」
瀬能さんの言葉に、私は顔の表情を戻すと、軽く咳ばらいをした。
「いえ、だって……。本当に美味しそうなメニューばかりだし」
「でしょ?優里香ちゃん好きそうかなって」
ニコニコと笑いながら、ジッと瀬能さんに見つめられ私はいたたまれなくなって、またメニューに目を落とす。