強引な副社長との政略結婚は甘すぎます
送ると言ってくれた瀬能さんを、なんとか振りきり私はタクシーに一人で乗り込むと、大きく息をはいた。

この結婚以来、いままで平凡でなにもなかった私の人生は急展開をばかりだ。
小さく息を吐いて、スマホをみれば翔太郎さんからのメッセージがはいっていた。

楽しんでおいでといった内容に、私の心はチクリと痛んだ。
別に悪い事はしていないが、私に隙があると以前言われた翔太郎さんの、以前の言葉を思い出す。

「どうしよう……」

なんて言い訳をするか考えていたら、そんな言葉が口をついてでていた。


いつもなら心躍らせて早く家に着きたくて、早く早くと思うマンションのエレベーターもゆっくりでいいのにとすら思ってしまう。


そんな事を考えているうちに、目の前に家のドアがあり、覚悟を決めて扉を開けた。
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