強引な副社長との政略結婚は甘すぎます

「ごめんなさい!私に隙があったんですよね!でも誓ってやましい事はありません!」
ガバッと頭を下げていった私は、怖くて翔太郎さんを見られなかった。


「まだ何も言ってないし、俺は何も聞いてない」
冷静なだけか、怒っているのかわからない翔太郎さんの声に、私はバクバクと心臓が大きく音を立てて、自分でも何を言っているのか分からなかった。

「だって、急に拉致みたいにされて……翔太郎さんの事は言えないし、どうしていいかわからなくて……」
涙が溢れそうになるのを我慢して、唇をギュッとかんだ。

「拉致?誰に?」

「え?誰って……瀬能……瀬能なんだっけ?海外事業部の……」

そこまで言ったところで明らかに、翔太郎さんを取り巻く空気が凍り付いたのがわかった。


やっぱり男の人って事は言わなきゃ良かった?でも私隠し事できないし、何もしてないし……。

そんな事がぐるぐると渦を巻くが、この逃げらない状況に、ただ黙り込んだ。

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