強引な副社長との政略結婚は甘すぎます
グイっと顎に手がかかったと思ったら、有無を言わずに唇を塞がれ私は目を見開いた。
いつもする軽いおかえりなさいのキスなんて可愛らしいものじゃなく、強引に割り込まれる舌と、強く腕を押さえつけられ身動きが取れない体制に、私はいつもと違う翔太郎さんが怖くなった。
「い……や……!」
なんとか声にだすと、ジッと睨むように見つめられ、私はただ翔太郎さんをみた。
「俺よりそいつがいいの?」
その呟きに答えようとするも、また唇を塞がれた。
いつもみたいな愛情も優しさも感じられない、ただ怒りをぶつけるだけのようなキスに、私の瞳からとうとう涙が零れ落ちた。
その涙が翔太郎さんの頬に流れ落ち、ハッとしたように翔太郎さんが顔を離した。