強引な副社長との政略結婚は甘すぎます
殆ど眠れないまま朝がきて、私は重たい躰をなんとか起こすと鏡を見た。


うわーひどい顔。

泣きはらした目は、腫れぼったく、目の下にはくっきりとクマができていた。

こんな顔で翔太郎さんには会えないよね。何かあったのがバレちゃうよ……。

昨日の電話の事を話すという選択肢はもちろんあるが、翔太郎さんに肯定されるのが怖かった。

【政略結婚なのに愛なんて求めてるわけないだろ】

そんな風にイジワルな翔太郎さんが頭に浮かび、私は頭からその翔太郎さんを追い払うように頭を振る。

愛情を感じることもあったが、これもただ円滑に夫婦生活を送るためだけだったら?
どうしてあんな素敵な人に過去に女の人の存在があることを予想しなかったのか?

そんな疑問が次々にわいてくる。
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