強引な副社長との政略結婚は甘すぎます

「もう大丈夫なのか?」
心配そうに私の瞳を覗き込む翔太郎さんに、複雑な思いがこみ上げる。

「はい。ご飯作りますね」

「無理するな。コーヒーは入れたしさっき下のベーカリーでパンを買ってきたから」
そう言って紙袋から手早く翔太郎さんは、おいしそうな匂いのパンを何個か取り出した。

「ありがとうございます」
素直に席について、翔太郎さんの入れてくれたコーヒーを一口飲んだ。

「仕事行けるか?」

「はい」
なんとか笑顔を作れたかな……そんな事を思いながら、一緒に車で行こうという翔太郎さんを何とか説得して家を出た。

一人電車に揺られ、大きく息を吐いた。



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