強引な副社長との政略結婚は甘すぎます
寝不足のせいだろう、頭痛がひどくなり私は目をギュッとつむるとくるりと肩を回した。
「優里香、疲れてるの?」
呼ばれて目を開くと、ジッと円花が私を見下ろしていた。
なぜかホッとして、目にじわりと涙が浮かんだ。
「ちょ、ちょっと優里香!どうしたの?」
いきなり会社で涙目になった私に、円花は慌てたように私を見た。
「なんでもない、ちょっと気が緩んだだけ。あっ、会議室の準備?備品ださなきゃね」
円花の部署の会議が入っていたことを思い出して、私はパソコンを手早く落とすと席を立った。
「どうしたのよ?大丈夫?」
「うん」
「結婚生活うまくいってないの?やっぱり」
二人で会議室に向かう為に、廊下を歩いていると、円花が周りを気にしながら、小声でいった。
「うまくね……。結局政略結婚だしね」
自虐的な私の言葉に、円花は何かを悟ったように私をジッと見つめた。
「優里香はそう思えなくなって来たってところか……」
図星をつかれ私は、黙り込んだ。
「えっと、会議室はBよね……」
私はそう言って手前の会議室の前を通り過ぎようとしたとこで、中から大きな声がして私たちは足を止めた。