強引な副社長との政略結婚は甘すぎます

「なに?」
円花も驚いたように、大きな声のした会議室に目を向けた。


『凛!いい加減にしろよ!』
その中から聞こえた声に、私は驚いて目を見開いた。

翔太郎さんの声……。

部下に怒ってるの?そう思ったが冷静沈着な副社長がこんなに声をあらげる姿は想像できない。

『ふん、お前だって優里香ちゃんをだましてるくせに。俺が少し近づいたからって目くじらたてることないだろ?』
あざ笑ったようなその声にも聞き覚えがあった。

瀬能さんだ……。
翔太郎さんが私をだま……して……る?

ドクンドクンという自分の心臓の音が大きくて、会議室から聞こえるその声がやけに遠くから聞こえた。

『まだ期日まで時間があるだろ!』

『その様子だとまだ落とせてないんだ。優里香ちゃんのこと。早くしないと俺にチャンスが回って来るよ。傷ついた優里香ちゃんを慰めるのも悪くないかな』

『凛!!!』

『あんな純粋な子落とせないなんて兄貴どうしたの?いつも女から寄って来るから口説き方知らなかったりして』

クスリとイジワルそうな笑みを浮かべた瀬能さんがすぐに想像できた。

それに兄貴……っていった?

瀬能さんと翔太郎さんが兄弟?
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