強引な副社長との政略結婚は甘すぎます
あれ……?

ぼんやりとした頭で、ゆっくりと目を開けると見覚えのない天井があった。

「あっ、優里香起きた?」
聞き覚えのある円花の声に、私は小さく首を動かした。


「あの後、優里香のご両親にも電話したんだけど、今遠くにいるみたいで、副社長が帰っていいって言われたから、お言葉に甘えて帰って来ちゃった」

クスリと笑った円花の言葉に、さっきの翔太郎さんと瀬能さんの会話が蘇る。


円花はそう言いながら、私の眠るベッドの横に座ると、ジッと私を見た。

「うちでよかった?」

「え?」

その問いの意味が解らず、私は円花を見た。

「あの後、すぐに副社長がでてきて倒れた優里香を抱き上げて運ぼうとしたの」

私の反応を見るように、円花は声を発した。
私自身、どんな表情をしているのかも、自分の気持ちも整理できなくてただ黙り込んだ。
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