強引な副社長との政略結婚は甘すぎます

「でも、もう一人の人が、それを優里香が望んでるのか?って言って……。副社長はすぐに電話をすると、神崎さんが慌ててやってきて……会社のドクターに見てもらって熱と寝不足だって」

「そっか。晃さんにも迷惑かけちゃった」
それだけを答えると、私は目をつむった。

「とりあえずもう少し休んで。話したくなったらいつでも聞くから」

「ありがと……」

円花は微笑むと部屋から出ていった。



何が何だかまったくわからない。
いや、わかりたくないだけだ……。

熱でぼんやりとした頭だったが、すごく単純な話だったようで私は自嘲気味に笑みを漏らした。

「バカみたい……」
これだから恋愛スキルのない人間が、あんなイケメンと暮らしたらダメだったのよ。

イケメンに少し夢を見ただけ……。
そう思い込もうとしても、涙があふれる。
あんなに幸せで、甘い時間がすべて作られたものだったことに、絶望と悲しみが広がる。

私だけが、私だけが……。

こんなに翔太郎さんを好きになってしまった。

どうしよう……。

どうしたらいいの……。

その事だけがグルグルと頭を廻った。
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