強引な副社長との政略結婚は甘すぎます
知らない間に眠ってしまっていたようで、私はぼんやりと目を開けた。
薄明りの中見慣れない天井に、円花の家にいることを思い出した。
何時だろう……。
カーテンから漏れる明かりに、夜ではない事が解る。
ずいぶん体が楽になっていて、私は起きると円花をを探すために寝室を出た。
すでに昼の11時だとわかり、もちろん円花は仕事に行ったのだろうと小さくため息をついた。
「あっ、優里香起きたの?」
洗面所から出てきた円花を私は驚いてみた。
「円花仕事は?」
「あのね、副社長が今日も優里香のこと見て欲しいって。休めてラッキーだよ」
そう言って笑う円花の言葉に、複雑な気持ちになる。
もう、今更目的がばれてしまった今、優しくする必要などないのに……。
「ごめんね。円花」
泣きそうになりながら言った私に、円花は「話せる?」と聞いた。
ゆっくりと温かいお茶を飲みながら、もちろん泣きながら話す私に、円花はうなずきながら聞いてくれた。
「そっか。そんな結婚だったけど、優里香は副社長の事好きになったってことだ」
私はその言葉に静かにうなずいた。