強引な副社長との政略結婚は甘すぎます
「本当に、ごめん」
何度も繰り返される謝罪に、私は呟いていた。
「何を謝ってるの?」
「だから、優里香をだましていたこと……」
絞り出すように言った翔太郎さんに、私は自嘲気味な笑みを漏らした。
「初めから政略結婚っていってたんだし、呪いじゃなく、トップの座を得るためだっただけですよね」
「それは……」
「別に、政略結婚だったんだし、少しぐらい嘘をつかれても平気です」
強がって言った私に、翔太郎さんは泣きそうな顔をした。
「優里香、違う。本当に。違うんだ……。確かに俺は……」
「もういいですよ。それよりどうしたんですか?そんな恰好で。今仕事のはずですよね?」
「それこそどうでもいい。俺は優里香がいないと眠れない。優里香俺は本気でお前が……」
「やめて!」
私は叫んでいた。
「もう、その芝居はやめて……」
ポロポロと涙が頬をつたう。
「そんなにトップになりたいなら、ならせてあげる。だけど、だけどこれ以上私の気持ちを振り回さないで……」
最後はもう嗚咽が混じり、言葉にならなかった私は、それだけ言うと自分の部屋へと逃げ込んだ。
「優里香……」
後ろから聞こえたその声だけが、私の耳に残った。