強引な副社長との政略結婚は甘すぎます
私はいつまでもこうしていることはできないと、その夜翔太郎さんを待つことにした。


23時をまわってもまだ帰ってきていない翔太郎さんに、だんだんと話す勇気がなくなってくる。

話をするという事は、すなわち自分から傷つきにいくようなものだ。

今更、真実を知って、翔太郎さんが私を落とすために、あの手この手と仕掛けていたことを聞いて、私はどうしたいのだろう?

また、そんなネガティブな感情がよみがえる。

そんな時、ドアが開く音がして、私はびくりと背筋が冷たくなる気がした。

帰ってきた……。

もうすぐ開くだろうリビングのドアを、そっと横目で見る。

無言で入ってきた翔太郎さんは、見るからに疲れているようでいつものような精気も感じなかった。

そんな翔太郎さんを見て、心が締め付けられる。

その時ようやく、ソファーに私がいることがわかったのが、翔太郎さんは驚いたような表情を見せた。

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