強引な副社長との政略結婚は甘すぎます

「あっ……」

何かを言おうとして、口を閉じた翔太郎さんに私も何かを言わなければと思う。

でも、あれこれ考えていた言葉を私も言う事ができず、私は立ち上がった。

やっぱり無理だ……。


そう思った。

「ごはん、いつも通り温めてください」
それだけを言って、階段を登ろうとしたところで、翔太郎さんに抱きしめられる。


「優里香、本当にごめん。傷つけて……」
今にも泣きそうな翔太郎さんの声に、胸が締め付けられる。
でも、どうしても信じることができない自分がいる。

「これも演技ですか?」
言いたくないのに、口をついてしまうひどい言葉に私はしまったと心で思う。

「違う!演技なんかじゃ……」
そう言った後、翔太郎さんは小さく息を吐いた。

「信じてなんかもらえないよな……」
そう言って私をそっと離すと、翔太郎さんはソファーに腰かけた。
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