強引な副社長との政略結婚は甘すぎます
「これが……」
無意識に零れ落ちた言葉に、翔太郎さんは自嘲気味な笑みを浮かべた。
「気にするな」
慣れた様子で、いつもの家にいる雰囲気は一気に消えうせた翔太郎さんに、私もキュッと唇を噛んだ。
翔太郎さんの一歩後ろをついて歩いて、大きな扉を開けると、何十人もが入れそうな部屋があった。
長いテーブルに10人ほどの人たちがもう座っており、みんな特に笑顔で談笑という感じもなく、冷たい空間へと足を踏み入れた。
「お待たせしました」
抑揚なくいった翔太郎さんの言葉に、一番上座に座っていた年配の男性が声をかけた。