強引な副社長との政略結婚は甘すぎます
「今回の件はおじいさまの思った通りになりました。私は翔太郎さんと幸せな家庭を気づきたいと思っています」
それだけを一気に言うと、私は翔太郎さんを見上げニコリと微笑んだ。

「ねえ、翔太郎さん。翔太郎さんも同じ気持ちよね?」

「ああ」
半ば呆然として言った翔太郎さんだったが、私は畳みかけるように言葉を続けた。

「翔太郎さんはとても優しくて頼りになる方です。私のつくる料理をいつも美味しそうに食べてくれて、私の事を常に気遣ってくれています。そんな翔太郎さんとうまくいかないわけありません。そんな翔太郎さんと結婚できて私は幸せです」

これは本心だ。
翔太郎さんがトップになるために言った言葉だが、嘘偽りは全くない。

「優里香……」
そんな私をただみつめている翔太郎さんは、どういう表情なのか私にはわからなかったが、そのまま微笑み続けた。

「そうかそうか。翔太郎も優里香さんを思っておるのだな?」

「……はい」
静かに。でも迷わずそう返事してくれただけで、私はうれしかった。
これでいい。
私が翔太郎さんに出来ることはこれぐらいだ。

ようやく役に立った気がして、私はホッと胸をなで下ろした。
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