強引な副社長との政略結婚は甘すぎます

その答えには晃さんは答えず、いつもの運転手さんが待つ車へと私を押し込んだ。

なんとか私を車に乗せると、晃さんは小さくため息をついた後、私をジッとみた。


「なんですか？」
その視線の意味が解らず、私は晃さんに問いかけた。

「なんでもないよ」
ふわりと優しく微笑まれて、私はその笑みの意味が全く分からず困惑した。

そのまま晃さんは、外をみたまま何かを言う事はなかった。

結局どこに行くかもわからないまま、着の身着のまま私は高級車に乗っていた。


そして、ついた場所に私は「無理！無理です」と声を上げた。
都内の高層ビル群にそびえ立つ、清水グループの本社ビル。

ここへ呼ばれた理由をなんとなく悟り、くるりと後ろを向いた。