強引な副社長との政略結婚は甘すぎます
私はお姫様じゃない!
「誰!!??」
目の前のスーツの男に、私は驚いて声を上げていた。

「笠井優里香?」

こげ茶色の少し長めの髪をかき揚ながら、そう聞いた男は、不機嫌そうな顔を見せながら私を見下ろしていた。

今度はなに?
この人はだれ?何で私の名前を知ってるの?

更に訳の分からない状況に、私は完全にパニックになっていた。

「無言は肯定とみなすよ?」
小さくため息をつくと、男はポケットから携帯を出すとどこかに電話をかけ始めた。

「ああ、見つけた」、「今から連れてく」そんな言葉が上から降ってきて、電話の相手がなんとなく分かった気がして、冷や汗が背中をつたった。

良くない事が起こっている事が理解できてしまい、私はまたもや逃げなきゃとカバンに手を伸ばした。


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