強引な副社長との政略結婚は甘すぎます
「待って!なんで?」
そんな私の言葉などまるで聞いていないようで、翔太郎さんは私の手をひきながらそのまま清水グループの本社ビルを出てきてしまった。
少し歩いて大きな公園に来ると、翔太郎さんはようやく歩みを止めた。
「どうして?」
泣きそうになりながら聞いた私に、翔太郎さんはようやく私の顔を見てくれた。
「どうして?トップになることが、翔太郎さんにとって長年の目的だったんですよね?お父さんを見返すためにも……。そのために私と……」
そこまで言って、翔太郎さんは優しく微笑んだ。
「俺にはもう必要ないんだ」
「必要……ない?」
全く意味が解らなくて、私はもうよくわからなかった。