強引な副社長との政略結婚は甘すぎます
「優里香も……俺を思ってくれてるって思っているけど、俺の勘違い?」
少し不安そうな瞳に、私は涙をぬぐうと、思い切り微笑んだ。
「勘違いなんかじゃないです。翔太郎さんが大好きです」
その言葉を最後まで言う前に、翔太郎さんに抱きしめられた。
「ずっと、大切な物なんて見つからない。俺は誰も愛せない。憎しみや怒りだけで生きてきたけど、そんなものどうでもいいぐらい、優里香が大好きだよ」
これでもかと抱きしめられて、ようやく本当に心から翔太郎さんを信じることができた。
私もギュッと抱きしめると、翔太郎さんの顔が近づいてきた。
もう少しで唇が触れるという所で、すぐ後ろで咳払いが聞こえて、私は焦ってその方を見た。
「お前たち、ここ外!」
晃さんのあきれた声に、私は真っ赤になっていたと思う。