強引な副社長との政略結婚は甘すぎます
そのまま私たちのマンションに帰ると、翔太郎さんは私を離さないというように抱きしめた。
そして初めのころのイジワルな表情など全くなく、甘い甘いキスを私に落とす。
「なあ、初めからやり直そう。一緒に住み始めたあの頃から」
その言葉に、私も小さく頷く。
「本当に俺の奥さんになって。そして毎日あれを言ってよ」
少しふざけたように言って、翔太郎さんは私のおでこに自分のおでこをつけた。
「あれって?」
意味が解らず聞き返した私に、翔太郎さんは笑いながら言葉を続けた。
「ご飯にする?お風呂にする?それと私」
「もう!バカ!」
急に言われたその言葉に、私は真っ赤になって、翔太郎さんの胸を叩いた。
「ごめん、でも優里香とそうやって毎日笑って、楽しく暮らしていきたい」
もう……。
すぐふざけるんだから。
そう思いながらも、私はもう翔太郎さんと離れたくなかったし、確かなものが欲しかった。