強引な副社長との政略結婚は甘すぎます
「おーっと!お嬢ちゃんもう逃げられないよ」
電話の相手ではなく、自分に向けられた言葉だとわかり、私は顔を歪めた。

「翔太郎、お前のお姫様、意外に跳ねっ帰りだぞ」
翔太郎という言葉に、最悪の状況を悟りギュッと唇を噛んだ。

今の言葉はなに?お姫さまって完全に馬鹿にしてるね……。そして跳ねっ帰り?何よそれ。

昨日のお父さんたちの身勝手な話に始まり、今日のこの理不尽な言われよう。
周りから追い込まれるこの状況に、だんだんと怒りが湧いてくるのがわかった。

私が何をしたって言うの?
先祖が何よ!不幸になるって誰がよ?
私だけが不幸じゃない!

いいわよ、会えばいいんでしょ?
向こうから断らせてやる!

「その電話の相手に会わせて!」
勢いに任せて、息荒く言った私に、まだ何やら話をしていたその男は驚いたように目を丸くした後、「もちろん。お姫様」とニヤリと口角を上げた。

あーもう!偉い人だろうが、おばあちゃんだろうが、もう知らない!
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