強引な副社長との政略結婚は甘すぎます
私はいつのまにか済まされていた会計の事すら気づかず、大股で外に出ると、促されるまま超高級車の後部座席に収まった。

小刻みに震える自分の手に気づき、ギュッと自分の手を抑えながら、絶対に負けない!どんなお屋敷でも、偉そうな人達もドンと来い!
庶民を舐めるなよ!!

そんな言葉を心の中で唱え、自分をなんとか震え立たせた。

「お姫ちゃん。何してるの?」
不意に助手席から、クスクスと笑う声が聞こえて、私は拳を軽く上げていたことに気づき、慌てて手を膝に戻した。

「そのお姫ちゃんってやめてもらえますか?」
冷静な声を出せたことに自分でも驚きながら、前を見ていてどうせ分からないとは思いながらも、さっきの男を睨みつけた。

「それは失礼しました。優里香様」
「なっ……」
今度は優里香様と呼ばれ、もう何をどこからツッコんでいいかわからず、言葉を止めた。

「俺は清水翔太郎の護衛の神崎晃。翔太郎とは生まれた時からの付き合い。神崎家は代々清水家に仕えてる。まあ、アイツの何でも屋みたいなもの」

サラリとまた時代錯誤な話をされて、更に私はため息をついた。

「そうですかってなると思いますか?」

「まあ、ならないわな」
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