強引な副社長との政略結婚は甘すぎます
「あの、どうして私の居場所がわかったんですか?」

さっきから疑問に思っていたことを、ようやく聞けて息を吐いた。

完全に喧嘩腰になってしまったけど、まあ良しとしよう。

一人で納得して、男の返事を待っていると、少し間が開いた後、

「まあ。いろいろ?」

さっきの笑いとは違い、なぜかゾッとするような微笑みを浮かべて振り返った男は諦めろ?と言っているようで、私は慌てて目を逸らした。

何よその疑問系は?

しばらくは大人しく外を見ていたが、だんだんイラっとしてきて、この男を観察することにした。

バレないようにコッソリと横顔を盗み見ると、副社長とはまったくタイプが違うが、この男もやたらと整った顔をしていることが分かった。

副社長が落ち着いたイケメン演技派俳優だとしたら、この人はアイドルグループにいてもおかしくなさそう……。

そんなバカな事を一瞬でも思ってしまった自分の、恋愛偏差値の低さに、自分で自分を殴りたい気持ちを押さえて、私は再度窓の外に目を向けた。

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