強引な副社長との政略結婚は甘すぎます
怒りなのか悲しみなのか、自分でも訳の分からない感情に飲み込まれそうになり、ギュっと唇をかみしめなんとかその感情を押し殺してると、ふと真面目な声が聞こえた。

「まあ、お姫ちゃんの気持ちもわからなくはないよ」

「え?」

お姫ちゃんとまた呼ばれたことは、今は許すとして急に何だろうと私は男の次の言葉を待った。

「昨日だろ?話を聞いたの。いきなり結婚しろって言われてもまあ、ピンとこないわな」
言い方は相変わらず軽いが、少しだけ私の事を考えてくれている様な言葉に、気持ちがほんの少し緩んだ。

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