強引な副社長との政略結婚は甘すぎます
写真と同じ顔をした小泉翔太郎という人は、180㎝はあるのだろう、私を無言で見下ろした。

「お姫さま……?いや、違うだろ?晃、どちらかというと…お子ちゃま?」

はあ?何その毒舌は?
私の今のお断りの返事がそれ?

「ちょっと!」
そう言いかけた私の体は、グイッと傾き引っ張られていた。

「なんでもいいから早く入れよ」
翔太郎とかいう男に引きずられている事がわかり、私は慌てて体をよじった。
「やめて!離して!」
騒ぎまくる私に、小さくため息が聞こえた。
「ほら」
いきなり手を離され、私の体は素直に重力に引っ張られ尻餅をついた。

「もう!なんなのよ!」
自分の会社の副社長なんて、これっぽちも頭から抜けていた私は思ったまま叫んだ。

「お前が離せっていったんだろ?」
クスリとイジワルな微笑みを浮かべ、それだけ言うと、さっさと一人で長い廊下を歩いていくその男を、私は呆然と眺めていた。
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