強引な副社長との政略結婚は甘すぎます
誰これ?
冷静沈着、表情を変えないという噂はなんだったの?

写真のスーツ姿と違い、ラフな短パンに、黒の半そでのTシャツ。
和服を想像していた私は、そのギャップにも驚いた。

写真や会社で遠くからみていた副社長はいつも隙がなく、髪型もきっちりと固められていたが、今はサラサラとした髪が揺れていた。

「ほら、お姫ちゃん立って?」
目の前に出された手が、晃さんの物だと認識するのに少し時間を要したが、ようやく私は立ち上がると、諦めて翔太郎とやらの後を追った。

なによ……これ。

うちのリビングが5個も6個も入りそうな広さの場所は、遠くの窓の外に東京の夜景が広がり、モデルルームの様なインテリアが並べられていた。
そう。まるでモデルルームの様な部屋のはず……。
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