強引な副社長との政略結婚は甘すぎます
「後は、お二人さんで話し合いな」

「え!ちょっと晃さん??待って!こんな奴と二人にしないで下さい!」
追いすがった私は、またもや何かに引っ張られドンと固い物に頭をぶつけた。

「また明日な。晃」
その固い物が翔太郎の胸板だとわかったのは、後ろから回された翔太郎の腕がギュッと私を抱きしめたからだった。

「イヤー!!」
ジタバタと暴れる私を、悪魔の様な微笑みで見下ろした翔太郎は、

「諦めろ。親孝行だと思え」

な……なによそれ。
それより、何この状況!
翔太郎は私を片腕で拘束し、もう片方の手は私の髪をもてあそんでいた。
何?なんの嫌がらせ?私をからかって何が面白いのよ?

私は今の状況も、この男の意味不明な言動も何もかもがわからず、力一杯に翔太郎を押しのけた。

「親孝行って!あなたなら女に困らないでしょ?どうにか説得してこんな訳のわからない結婚やめさせてください!もっとどこぞのご令嬢と結婚してください!そんな昔の先祖なんかに振り回されないで下さい!」

一気に言って私は玄関に向かって、ダッシュで走った。
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