強引な副社長との政略結婚は甘すぎます
「なあ、いつの先祖の話か知ってる?」
話をしようと言われて、結婚の話だとばかり思っていた私は、急に振られた話にびっくりして翔太郎を見た。

「いつのって……?」

「ああ、どうして俺たちがこんなことになっているか」
「聞いてません」
素直に答えると、翔太郎は立ち上がり綺麗なキッチンへ行くと冷蔵庫からミネラルウォーターを持って戻ってきた。

「ビールの方がいい?」
「いえ……ありがとうございます」
ペットボトルを受け取ると、私は両手で握りしめた。
ひんやりとした感触が心地よくて、小さく息を吐いた。

「お前はお姫様だったんだよ」

「はあ……」

真面目な話かと思えば、いきなりの言葉に私はやっぱり帰ればよかったと、すでに後悔していた。
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