強引な副社長との政略結婚は甘すぎます
「本当の話。江戸時代、笠井家は大名で、お前の祖先はそこのお姫様だった」
「へえ、今とは大違いですね」
本当にお姫様だったと聞いて、とりあえずこの二人の気まずい雰囲気を壊すためにも、私は仕方なく相槌を打った。

「そして君には愛する人がいた。それが俺の先祖。まあ、俺もそこそこの家柄だったが、おまえは綺麗だった」
「私じゃなくて、先祖ですね」
おまえに俺って……私たちの事みたいに言わないでよ。

「当時の将軍に君の親は嫁がせようとした」
私の言葉を無視して続ける翔太郎に、呆れつつももう私は何かを言うのを諦めた。

「そして君は無理やり嫁がされた。しかし世が世だ。沢山の女の争い。本当に愛した人との別れ。君の先祖は子供を産むとその子を連れて逃げ出した。しかし逃げきれる訳もなく、呪いをかけて、恨みつらみを言って亡くなった。まあ、簡単にいうとそう言う話らしい」
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