強引な副社長との政略結婚は甘すぎます
バタンと扉が閉まると、翔太郎はきょろきょろと私の部屋を見回した後、ドカッとベッドに腰を下ろした。

「騙しましたね」

これでもかというぐらい、睨みつけた私に、翔太郎は口角だけを上げてみせる。

「心外だな」

「私に考えさせてくれるって、あなた言いましたよね?私返事してませんよ」

その言葉に、翔太郎は大げさに驚いたような表情をした後、
「考えても同じだろ?お前は俺と政略結婚をする」

政略結婚……。
なんて嫌な響き。

「私、そんな結婚……嫌です」

「じゃあ、どういう結婚ならいいんだよ?」


なぜかこの人が本気でそう言っている様な気がして、私は改めて考えの違いを思い知った。
黙り込んだ私に、翔太郎は立ち上がって私の目の前にくると、私を見据えた。
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