強引な副社長との政略結婚は甘すぎます
「そのあたりは触らないので、こっちは片付けますよ」
脱ぎっぱなしのスーツやキッチンにいくつも置かれたコップを私は指さした。

「嫌……。後で俺がやるから……」
「できるんですか?」
「俺にできない事はないはず……」
その言葉に、私は質問を変えた。

「やったことはありますか?」

「……ない」
さすがおぼっちゃま。

「このコップは何を飲んだんですか?」
「冷蔵庫の水」
コーヒーも淹れられないんじゃないの?この人。

「勝手にいろいろさわりますよ」
「ああ」

もう仕事に没頭している翔太郎に、とりあえずコーヒーを入れるためキッチンへと向かった。
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